はじめてのMercurial/Bitbucket

はじめてのMercurial/Bitbucket
日本CodeIgniterユーザ会
Kenji Suzuki

2011/02/19
CodeIgniter and its logo are property of EllisLab Inc CodeIgniter Users Group in Japan

目次

 Part 1 バージョン管理システムとは？
 Part 2 Mercurialとは？
 Part 3 Mercurialの使い方(1)
　～基本的な使い方～
 Part 4 Mercurialの使い方(2)
　～複数リポジトリの使い方～
 Part 5 Bitbucketとは？


Part 1

Part 1 バージョン管理システムとは？


バージョン管理システムとは？

 ファイルの変更履歴を管理するシステム
➔変更したすべてのファイルを保存する
• いつ誰がそのファイルを変更したのか
• どんな変更をしたのか
➔保存された過去の状態に戻せる
➔要するに、便利なバックアップシステム
• 使い方を覚える前は「なんかめんどくさ
そう」と思うが、使えるようになると「もっ
と早く勉強すればよかった」と思う


用語の説明

 基本的な用語
➔リポジトリ
➔作業フォルダ
➔コミット


リポジトリとは？

 ファイルの変更履歴を保存する場所

リポジトリ


作業フォルダとは？

 実際に作業するフォルダ
 ワーキング・ディレクトリや作業領域とも

リポジトリ

作業フォルダ


コミットとは？

 リポジトリにファイルを保存すること

作業フォルダ

リポジトリ

ファイル


集中型と分散型

 集中型
➔リポジトリが1つ
➔サーバ上に存在
➔CVS、Subversionなど


集中型

リポジトリ

作業フォルダ

作業フォルダ
作業フォルダ


集中型と分散型

 分散型(DVCS)
➔リポジトリが複数
➔各々のユーザのコンピュータ上に存在
➔Git、Mercurialなど


分散型

リポジトリ

作業フォルダ

リポジトリ
リポジトリ

作業フォルダ
作業フォルダ


分散型

リポジトリ
リポジトリ

作業フォルダ

リポジトリリポジトリ

作業フォルダ作業フォルダ


Part 2

Part 2 Mercurialとは？


Mercurialとは？

 分散型のバージョン管理システム
➔クロスプラットフォーム
➔Pythonで実装されている
➔コマンドはhg


Mercurialのメリット

 Subversionにコマンドが似ている
 Gitよりわかりやすく初心者が覚えやすい
 Windowsサポート
 多くのホスティングサービス
➔Google Code, SourceForge,
Bitbucket, CodePlex, Assembla, ...
 CodeIgniterの開発に使われている


Mercurialのインストール

 Ubuntu/Debian

$ sudo apt-get install mercurial



 Windows
➔http://tortoisehg.org/
よりTortoiseHGをダウンロードして
インストール
➔(参考)TortoiseHg のインストール
http://d.hatena.ne.jp/Kenji_s/20110204/1296781160



 Mac OS X
➔バイナリ
• http://mercurial.berkwood.com/
➔MacPorts
$ sudo port install mercurial
➔MacHg
• http://jasonfharris.com/machg/


Mercurialのバージョンの確認

 hg version
Mercurial - 分散構成管理ツール(バージョン 1.6.3)

著作権 (C) 2005-2010 Matt Mackall <mpm@selenic.com> 他
本製品はフリーソフトウェアです。頒布／改変の際はライセンス条項をお読み
ください。市場適合性や特定用途への可否を含め、本製品は無保証です。


CUI vs GUI

 CUIとGUIはどちらがよいか？


CUI vs GUI

 CUIとGUIはどちらがよいか？

http://twitter.com/sawonya/status/17754589323333633


Mercurialの設定ファイル

 ユーザ設定ファイル
➔GNU/Linux, Mac OS X
• ~/.hgrc
➔Windows
• %HOME%Mercurial.ini
• %HOME%.hgrc
• %USERPROFILE%Mercurial.ini
• %USERPROFILE%.hgrc


 .hgrcに以下を記載
[ui]
username = ユーザ名

 例
Windows:
[ui]
username = kenjis
editor = C:UsersKenjiDesktopsakuraW.exe
Ubuntu:
[ui]
username = kenjis



 マージツールにdiff3を使う例
Ubuntu:
[ui]
merge = diff3
1行で
[merge-tools]
diff3.args = -m
-L local -L base -L other
$local $base $other > $output


Part 3

Part 3 Mercurialの使い方(1)
基本的な使い方


Mercurialの使い方

 hg init - リポジトリの作成
 hg add - ファイルを管理対象に
 hg commit - リポジトリにファイルを保存
 hg diff - ファイルの変更点の確認
 hg status - ファイルの状態の確認
 hg log - 変更履歴(ログ)を見る
 hg help - ヘルプを見る



 リポジトリの作成(hg init)
➔新規にフォルダを作成
$ hg init mywork
➔既存のフォルダをリポジトリに
$ cd mywork
$ hg init



 hg initするとどうなるか？
➔フォルダに「.hgフォルダ」が作成される
➔「.hgフォルダ」が「リポジトリ」
➔「.hgフォルダ以外」は「作業フォルダ」
➔.hgフォルダを削除すれば普通のフォルダ
に戻る
➔.hgフォルダの中身は(設定ファイル以外)
いじってはいけない


リポジトリと作業フォルダ

 リポジトリと作業フォルダのイメージ

リポジトリ
=.hg
作業フォルダ



 ファイルを管理対象に(hg add)
➔リポジトリを作成しただけでは、リポジトリ
の中は空
➔保存したいファイルを管理対象にする必
要がある
➔管理対象でないファイルは作業フォルダ
内にあってもリポジトリに保存されない



 ファイルを管理対象に(hg add)
➔特定ファイルを管理対象に追加
$ hg add myfile.php
➔全てのファイルを管理対象に追加
$ hg add
➔カレントディレクトリ以下のファイルを追加
$ hg add .



 リポジトリにファイルを保存(hg commit)
➔コミット
$ hg commit
➔コミットメッセージを指定してコミット
$ hg commit -m ”commit message”
➔コミットメッセージとは？
• コミットしたときに記載するメッセージ
• 変更内容などを書く
• 変更履歴(ログ)に表示される

チェンジセットとは？

 チェンジ = 変更点
 セット = 集合
 チェンジセット = 変更点の集まり
➔コミットするごとにチェンジセットが作成さ
れる
➔チェンジセット=リビジョン(バージョン)
• ファイルが保存されたタイミング
• その時のファイルに戻すことができる


 ファイルの変更点の確認(hg diff)
➔特定ファイルの変更点をみる
$ hg diff myfile.php
➔全てのファイルの変更点をみる
$ hg diff
➔何と何の変更点か？
• リポジトリのファイルと作業フォルダの
ファイルの変更点



 ファイルの状態の確認(hg status)
➔特定ファイルの状態をみる
$ hg status myfile.php
➔全てのファイルの状態をみる
$ hg status
➔マークの意味
• ? 管理対象外
• A 追加予定
• M 変更されている


 変更履歴(ログ)の見方(hg log)
➔ログの表示
$ hg log
➔詳細の表示
$ hg log -v



 hg log
チェンジセット: 2124:b4898a291db8
タグ: tip
ユーザ: Greg Aker <greg.aker@ellislab.com>
日付: Tue Dec 21 13:49:33 2010 -0600
要約: Fix #85 error in db queries in the output profiler.

チェンジセット: リビジョン番号(連番):ハッシュID

要約: コミットメッセージの1行目



 hg log -v
チェンジセット: 2124:b4898a291db8
タグ: tip
ユーザ: Greg Aker <greg.aker@ellislab.com>
日付: Tue Dec 21 13:49:33 2010 -0600
ファイル: system/libraries/Profiler.php user_guide/changelog.html
説明:
Fix #85 error in db queries in the output profiler.

ファイル: そのチェンジセットで変更されたファイル

説明: コミットメッセージの全文



 ヘルプの見方(hg help)
➔hg help
• コマンド一覧が表示される
➔hg help コマンド名
➔例
$ hg help status


Part 4

Part 4 Mercurialの使い方(2)
複数リポジトリの使い方


複数のリポジトリを使う

 今まではSubversionと同じく
リポジトリが1つだった
 分散型ではリポジトリをいくつでも使える
 複数のリポジトリを使うとは？
➔リポジトリのコピーを作成する(clone)
➔他のリポジトリへ変更を送る(push)
➔他のリポジトリから変更を取り込む(pull)
 リポジトリを分けてSubversionのブランチ
のように使える



 リポジトリのコピーを作成する(hg clone)
➔hg clone コピー元コピー先
$ hg clone mywork mywork2



 他のリポジトリへ変更を送る(hg push)
➔mywork2からmyworkへ送る
$ cd mywork2
(...作業...)
$ hg push ../mywork
➔ただし、これだけではmyworkの中の
ファイルは更新されない



 作業フォルダのチェンジセットの確認
➔mywork2作業フォルダ
$ cd mywork2
$ hg parents
チェンジセット: 2:ce327f106abd
タグ: tip

➔mywork作業フォルダ
$ cd ../mywork
$ hg parents
チェンジセット: 1:564c71262a09



 作業フォルダを更新する(hg update)
➔mywork作業フォルダの更新
$ hg update
➔チェンジセットの確認
$ hg parents
チェンジセット: 2:ce327f106abd
タグ: tip



 他のリポジトリの変更を取り込む(hg pull)
➔mywork、mywork2ともに
変更をコミットする
➔mywork2にmywork1の変更を取り込む
$ hg pull ../mywork
../mywork から取り込み中
変更点を探索中
チェンジセットを追加中
マニフェストを追加中
ファイルの変更を追加中
1 のチェンジセット(1 の変更を 1 ファイルに適用)を追加（+1個のヘッド）
(ヘッド一覧表示は 'hg heads'、マージ実施は 'hg merge')


headとは？

 先頭のチェンジセット
➔myworkおよびmywork2(単一ヘッド)
mywork 0 1 2 3 head 同じ3でも内容が違う!
リビジョン番号はリポジトリ内でしか
mywork2 0 1 2 3 head 有効でない

➔mywork2にmyworkの変更を取り込む
(複数ヘッド)
mywork2 0 1 2 3 head

4 head 取り込まれた変更



 ヘッドの確認(hg heads)
$ hg heads
チェンジセット: 4:bfa67261ff9d
タグ: tip
親: 2:ce327f106abd
ユーザ: kenjis
日付: Thu Dec 23 13:10:13 2010 +0900
要約: add echo

チェンジセット: 3:d8deb5a57707
ユーザ: kenjis
日付: Thu Dec 23 13:10:20 2010 +0900
要約: add echo


tipとは？

 そのリポジトリに最後に追加された
チェンジセット
➔Mercurialにより自動的にタグが付く
➔通常は最新のチェンジセット
➔ただし、必ずしも時間的に最新とは
限らない


mergeとは？

 枝分かれしたヘッドを統合すること
➔ヘッドが2つの場合はMercurialが自動
的にマージ対象を特定
➔ヘッドが3つ以上の場合は、マージ対象の
チェンジセットを引数で指定
➔うまくマージできなかった場合、衝突(コン
フリクト)と言う
➔うまくマージできたとしても、プログラムが
正しく動作する保証はない


マージの仕方

 作業フォルダのチェンジセットを確認
$ hg parents
チェンジセット: 3:d8deb5a57707
ユーザ: kenjis
日付: Thu Dec 23 13:10:20 2010 +0900
要約: add echo

 マージする
$ hg merge
myfile.php をマージ中
警告: マージ中に衝突を発見。
myfile.php のマージに失敗!
ファイル状態: 更新数 0、マージ数 0、削除数 0、衝突未解決数 1
'hg resolve' での再度衝突解消か、'hg up -C' で変更破棄してください


衝突の解消の仕方

 衝突したファイルと状況を確認する
➔hg resolve -l
• U 未解消
• R 解消済み
 衝突したファイルをエディタで修正する
 衝突を解消済みにする
➔hg resolve -m
 コミットする


衝突したファイル

 衝突したファイルの見方
<<<<<<< local

マージ前のチェンジセットの内容

||||||| base

共通の祖先のチェンジセットの内容

=======

マージ対象チェンジセットの内容

>>>>>>> other

0 1 2 3 head

4 head


マージの仕方

 衝突の確認 $ hg resolve -l
U myfile.php

 ファイルの修正 $ vi myfile.php
 衝突を解消 $ hg resolve -m
 衝突の確認 $ hg resolve -l
R myfile.php

 コミット $ hg commit
➔コミットするまでがマージ


マージの仕方

 マージ後の作業フォルダ
$ hg parents
$ hg parents
チェンジセット: 5:563ebd60e515
タグ: tip
親: 3:d8deb5a57707
親: 4:bfa67261ff9d
ユーザ: kenjis
日付: Thu Dec 23 14:35:15 2010 +0900
要約: merge

0 1 2 3 5 head

4


Part 5

Part 5 Bitbucketとは？


Bitbucketとは？

 Mercurial版GitHub
 Mercurialのホスティングサービス
 公開リポジトリは無料で制限なし
 プライベートリポジトリも無料でいくつでも
作れ、容量制限なし
 課金はプライベートリポジトリのユーザ数。
無料で5人まで
 HTTPSでも書き込み可。SSH不要
➔GitHubでも可能でした


Bitbucketのユーザ登録

 https://bitbucket.org/ よりユーザ登録
 ユーザ名にアンダースコアは避けた方がよ
いかも知れない
 HTTPSで書き込みするためにはパスワード
が必要なのでOpenIDではサインアップし
ない


Bitbucketのユーザ登録

 (参考)Bitbucket に登録しよう


Bitbucketの使い方

 リポジトリを新規作成する場合
➔Bitbucket上にリポジトリを作成
➔ローカルPCへリポジトリをclone
➔ローカルリポジトリに変更をコミット
➔ローカルリポジトリの変更を
Bitbucketへpush
➔Bitbucketリポジトリの変更を
ローカルリポジトリにpull


リポジトリを新規作成した場合

ローカル
リポジトリ
Bitbucket
リポジトリ

作業フォルダ

ローカル
リポジトリ

作業フォルダ


Bitbucketの使い方

 既存のリポジトリをforkする場合
➔Bitbucketで既存のリポジトリをforkして
自分用のリポジトリを作成
➔ローカルPCへリポジトリをclone
➔ローカルリポジトリに変更をコミット
➔ローカルリポジトリの変更を
Bitbucketへpush
➔fork元のリポジトリの変更を
ローカルリポジトリにpull


リポジトリをforkした場合

fork元 forkした

ローカル
リポジトリ

作業フォルダ


CodeIgniter Reactorをfork

 Reactorのリポジトリをforkする
➔その前に
➔CodeIgniter Reactorとは？
➔(参考)CodeIgniter って何？という人の
ための CodeIgniter Reactor 紹介



 Reactorのリポジトリをforkする
➔ https://bitbucket.org/ellislab/codeigniter-reactor
へアクセスし、「fork」ボタンを押す
➔リポジトリ名は「myci」
➔「Create fork」ボタンを押すとリポジトリ
が作成される

Reactor myci


Bitbucketリポジトリの管理

 「Admin」タブから設定

←アクセス権の設定

←リポジトリの削除



 myciリポジトリをcloneする
$ hg clone https://ユーザ名@bitbucket.org/ユーザ名/myci
$ hg clone ssh://hg@bitbucket.org/ユーザ名/myci
SSHの場合、
https://bitbucket.org/account/
よりSSH公開鍵の登録が必要

Reactor myci
リポジトリリポジトリ myci
リポジトリ

作業フォルダ


Mercurialの設定

 ユーザごとの設定ファイル
➔~/.hgrc, %HOME%Mercurial.iniなど
 リポジトリごとの設定ファイル
➔.hg/hgrc
• そのリポジトリだけの設定を記載する
• 例えば、リポジトリのパス
• 例えば、ユーザ名を変える


Mercurialの設定

 パスの設定(.hg/hgrc)
➔HTTPSの場合
[paths]
default = https://bitbucket.org/ユーザ名/myci
orig = https://bitbucket.org/ellislab/codeigniter-reactor

➔SSHの場合
[paths]
default = ssh://hg@bitbucket.org/ユーザ名/myci
orig = https://bitbucket.org/ellislab/codeigniter-reactor

default: パス名を指定しなかったときに使われる
orig: 任意の名前が可能


Mercurialの設定

 HTTPSの場合
➔HTTP認証の設定
[auth]
bb.prefix = bitbucket.org
bb.username = Bitbucketのユーザ名
bb.password = Bitbucketのパスワード
bb.schemes = https

bb: 認証設定に付ける名前。任意の文字列



 ローカルのmyciリポジトリの変更を
pushする
$ hg push

Reactor myci
リポジトリ

作業フォルダ



 EllisLabのReactorリポジトリの変更を
pullする
$ hg pull orig

Reactor myci
リポジトリ

作業フォルダ



 pullした変更をmergeする
$ hg merge
$ hg commit

myci
Reactor myci リポジトリ

作業フォルダ



 分岐がなくmergeの必要がない場合
➔作業フォルダにpullした変更を
反映させる
$ hg update

myci
Reactor myci リポジトリ

作業フォルダ



 pull request
➔fork元に自分の変更を取り込んでくれる
ように依頼すること
➔https://bitbucket.org/ellislab/codei
gniter-reactor にアクセス


参考文献

 『入門Mercurial』藤原克則著, 秀和システム, 2009年
 『Mercurial による分散リビジョン管理』
http://www.honeyplanet.jp/hgbook.pdf
 「Mercurial の使い方のチュートリアル」
http://mercurial.selenic.com/wiki/JapaneseTutorial
 「Mercurial Wiki」
http://mercurial.selenic.com/wiki/
 「Bitbucket & Mercurial」
http://www.slideshare.net/shibukawa/bitbucketmercurial

 「前説分散バージョン管理システムってなんなん？」
http://www.slideshare.net/TakashiOkamoto/20101218-6213044


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